NIKKOR Z 50mm f/1.2 S レビュー!GR IVを手放してまで欲しかった

【238記事目】50mm f:1.2ファーストレビュー

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超お気に入りレンズ「NIKKOR Z 50mm f/1.2 S」 のレビューです。
けれど、いざ買うとなると、ここで止まる人が本当に多いんですよね。

  • f/1.8 Sで十分なのに、3倍の価格を払う意味ってあるの?
  • 1kg近い重さを、毎回持ち歩けるイメージが湧かない
  • 約25万円を払って、買った後に後悔しないか怖い

僕も半年以上、まったく同じところで止まっていました。
「f/1.8 Sで妥協しても、たぶん満足できるよな」と自分に言い聞かせながら、価格.comとYouTubeを行ったり来たり…。

この記事を読んでくれているあなたも似たような状態じゃないですか?

僕は、コンパクトに憧れた自分を裏切ってまで、このレンズに辿り着きました。
GR IV HDFを3ヶ月で手放した記録 でも書いた通り、自分の「好きな描写」を一度棚卸ししたことがきっかけでした。

結論を先に言うと、買わないと一生引きずったレンズになっていたと思います。

この記事がおすすめな人
  • NIKKOR Z 50mm f/1.8 S と f/1.2 S で迷っている人
  • どれほどの「ボケ味」「空気感」か確かめたい人
  • 購入直前の最後の一押しを探している人
  • Nikon Zf に f/1.2 S を組み合わせてみたい人

GR IVを手放してまで欲しかった理由

まずこのレンズを手にした前提をお話しします。

今の僕のレンズ構成には、f/2以下の明るさのレンズが1本もありませんでした。
標準ズームと望遠ズーム中心で、明るい単焦点だけがぽっかり空いていた状態ですね。

でも実は数年前、NIKKOR Z 50mm f/1.4 を使っていた時期があります。
これは僕の主観ですが、開放付近の描写があまりにも甘く、光源を入れようものなら激しいフリンジが発生します。

RAW現像時に、色収差を補正するのがあまりにも面倒で…。


手放したときに思ったのは、「廉価なレンズで失敗したから、次はニコンの最高峰を試したい!」ということでした。
中途半端な明るさで妥協してまた手放すくらいなら、頂上を1回ちゃんと見てから判断したいなと。

そんなことを考えていたタイミングで、“もうひとつ大きな出来事”がありました。
GR IV HDF を3ヶ月で手放したんです。

GR IV は超コンパクトなのに、本当によく写ります。
ただ、求めている描写や撮影体験ではなかった、というのが正直なところです。
良いカメラでしたが、使い続けるとなると「?」でしたね。

それでようやく分かったんです。

サイズはいくら大きくなったとしても、突き抜けた描写性能が好き。

これが、3ヶ月使ってようやく言語化できた自分の価値観でした。
携帯性で選んで失敗するパターンが2回続いて、自分はそっち側の人間じゃないと観念したわけです。笑

だったら逆方向に振り切ってもいい。
GR IV を売ったお金は、そのまま NIKKOR Z 50mm f/1.2 S にスライドしました。

ちなみにニコンの中での立ち位置については、2年使ったNIKKOR Z 24-120のレビュー でも触れています。
便利ズーム1本でなんでもこなせる便利さを知っているからこそ、単焦点に求めるものが「便利さ」ではなく「描写性能だけ」と割り切れた、というのもあります。

京都ヨドバシで決心。あと作例もどうぞ

作例①:日常の何気ないシーンも情緒的に。

決定打になったのは、京都ヨドバシカメラのタッチ&トライでした。

でも、本来なら描写の良し悪しを見極めるには向かない場所です。
お世辞にも綺麗に撮れる環境ではないと思います。
というのも、

  • 店内は明るいけどゴチャゴチャしている。
  • 天井のLEDと棚の白色灯が混ざる典型的なミックス光

なんとなく、デモ機にぶら下がっていた f/1.2 S をボディに装着したのですが…。

ファインダーを覗いた瞬間に、息が止まりました。

「めちゃくちゃ綺麗!」が口から漏れていました。あの環境で、です。
一緒にいた息子もファインダーを覗いてビックリしていましたね。

ついでに、妻にフォーカスを合わせた時の感想は、「モデルか?!」と言わんばかりのもの。
そう…あの環境で、です。

f/1.2 という開放値ゆえに、てっきり「とにかくよくボケるだけ」を想像していたんです。
でも実際に覗いて感じたのは、ボケ量よりもボケの質感でした。

ピント面のすぐ後ろから、どこからボケ始めているのか分からないくらい、自然に世界がほどけていく…。

ボケのグラデーションの豊かさはまさに圧巻で、ある意味でショックを受けたましたね。

作例②:開放でもピント面の解像感は高い。(網の目を参照)

f/1.2という被写界深度の浅さから、「ピント面はさすがに甘いはず」と身構えてましたが…これも裏切られました。

確かに開放付近では、バキバキに解像しているのとは違って、表面は柔らかい雰囲気を残しています。
でも、拡大して見るととんでもなく解像しているんです。
柔らかさとシャープさの両立」って矛盾して聞こえますが、本当にそうとしか説明できない描写なのです。

ファインダーの見え方からして違う

ニコンのファインダーの見え方は綺麗なものが多いです。

でも、このレンズは他に比べて圧倒的にクリアに感じます。

「光がスーッとセンサーまで届いている」、そんな透明感すらも感じますね。

この体験までは、「f/1.8 Sの評価も高いし、これで十分だろう」なんて考えていました。
でも、後から「f/1.2 Sを買っていれば…!」という後悔する未来がハッキリ見えてしまったんですよね。笑

その場で決めました。f/1.2 S を買おうと。

描写力——湿度までキャプチャーするレンズ

僕の撮影スタイルは、綺麗な何かに思い切りフォーカスするタイプではありません。
どちらかというと、空間そのものを切り取る、いわゆる空気感を大事にする撮り方です。

被写体と背景の境界をハッキリ分けず、その場全体の雰囲気を1枚に閉じ込めたいんですよね。

このスタイルに、NIKKOR Z 50mm f/1.2 S は本当にめちゃくちゃ合うレンズでした。

また本レンズを一言でいうと、「その場の湿度までもをキャプチャーできる」といったところです。
ただ被写体を写すのではなく、

  • 空気の重さ
  • 温度感

なども、画面の中に閉じ込めてくれる感覚があります。

作例③:ボケが始まる場所が分からない、自然なグラデーション

(これは買って初めて分かったことなんですが)このレンズで人を撮るといつもより喜ばれます。

少し前に、母が冗談半分で「遺影に使える写真をそろそろ撮ってほしい」と言われました。
最初は、NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR Sでそれっぽいものを撮ってました。
でもせっかく50mm f/1.2 S を買ったし…ということで撮り直したんです。

撮った写真を見せた瞬間に「めちゃくちゃ綺麗に撮れてる!」と、前とは明らかに喜ばれ方が違ったのです。
70-200mmで撮ったものも悪くなかったはずなんですが…。笑

まさに、親孝行できるレンズですね!

作例④:明るさとボケが生む、その場の湿度感。

ポートレートで「相手が喜ぶ写真が撮れる」って、機材としてはちょっと反則じゃないですか。

それ以来、家族と出かける“お出かけレンズ”としても使うようになりました。
重くてデカいけれど、撮った写真を目の当たりにすると、その重さは支払う価値のあるコストに変わってくれます。
家族用のレンズ選びについてもう少し体系的に知りたい方は、Nikon Zfで使うレンズ選びをまとめた記事 も合わせてどうぞ。

ここまで作例を4枚見てもらいましたが、ブログに載せている画像は表示速度のために大きく圧縮しています。
本来の描写は、もっと階調が深いし、湿度がそのまま残っているんですよね。

この50mmで撮った写真は、Instagram(@monoscram)で継続的に公開しています。
作例を見てもらえると、僕がこの記事で言葉にしたかった雰囲気が、もう少しダイレクトに伝わるはずです。

NIKKOR Z 50mm f/1.8 S と f/1.2 S の違い

ここからは、「f/1.8 S と迷っている人」に向けた話です。

最初に断っておきたいのですが、僕自身は NIKKOR Z 50mm f/1.8 S を所有していません。
※これから書く比較は、ニコン公式や信頼できるレビュー(デジカメWatchなど)を裏取りデータとしています。

比較項目NIKKOR Z 50mm f/1.2 SNIKKOR Z 50mm f/1.8 S実用上の差
開放F値f/1.2f/1.8約1.2段分、f/1.2が明るい
レンズ構成15群17枚(ED2・非球面3)9群12枚(ED2・非球面2)開放からの収差補正に差
コーティングナノクリスタル+アルネオナノクリスタル逆光耐性はf/1.2が上
最短撮影距離0.45m0.40m寄りはf/1.8がわずか優位
フィルター径82mm62mmその他 f/1.2シリーズと共通
質量約1,090g約415g約2.6倍の差
OLED情報パネルありなし所有感への寄与が大きい
実売価格(2026年5月)約25〜28万円約7〜8万円価格差は約20万円

まずは、スペック表で比較してみましょう。
公式サイトなどを見れば分かることですが、改めて比較しておきます。
これだけ見ても、全くの別物レンズだと分かりますね!

でも、“もっと踏み込んだところ”が知りたいのではないでしょうか?
ということで、それぞれの写りの傾向を比較しました。

描写項目f/1.2 S の傾向f/1.8 S の傾向
中央解像開放から高解像、F2-F4でピーク開放からシャープ、F4-F5.6でピーク
周辺解像隅まで良好シャープだがわずかに及ばず
ボケの柔らかさ前後ボケのグラデーションが自然、とろけるクラス最高峰、ただし別格感には届かず
逆光耐性アルネオで強いナノクリ単独、やや劣る
空気感・立体感質感だけでなく場の空気まで再現単焦点らしい立体感はある

解像感では、実は大きな差がないんですよね。
どちらもZレンズなので、いわゆる「クセ」がないです。
言ってしまえばレンズ自体に変な味付けがないんですね。

でも、僕が f/1.2 S を選んだ理由は、解像感の差ではありませんでした。

ひとつは、頂上を使っているという安心感です。
明るさで言えば、これより上にいるのは 以前の記事 でも触れた、NIKKOR Z 58mm f/0.95 S Noctくらいですよね。
約126万円・約2,000g・MF専用という別世界のレンズです。

常用できるニコンの単焦点としては、f/1.2 S が事実上の最上位なのでは?

この「頂上を使っている」という事実は、撮影現場の心理にめちゃくちゃ効きます。
だってレンズを言い訳に使えなくなるんですから。笑

レンズを言い訳にしないメリット

f/1.8だと言い訳が作れそうなんですよね。

「もうちょい明るいレンズなら撮れたかも」なんて感じに。

これでダメなら腕の問題!と、自分を追い込む方が撮影に集中できます。

こういうの、地味に効いてくるんです。

そしてもうひとつ、これはスペック表に絶対に載らない要素ですが、f/1.2 S には独特の “色気” があります。
もっと言うと、「華」があるレンズだと感じています。

  • 手にしたとき。
  • 装着したとき。
  • 写真を仕上げたとき。


やはり所有感が違うんですよね。
Zレンズはどれもクセがないからこそ、この「華」が選ぶ大きな理由になるのではないでしょうか?

これらを踏まえて、それぞれのレンズが得意なシーンをまとめてみました。
どちらのレンズがあなたに合いそうですか?

シーンf/1.2 Sf/1.8 S
ポートレート(空気感重視)
室内・低照度・暗所スナップ
日中スナップ・旅行軽装
物撮り・寄り重視
動画ハイブリッド運用
AF速度最優先
所有感・頂上の安心感

重さ・大きさ・価格——「デメリットが買う前から明確」はメリット

NIKKOR Z 50mm f/1.2 Sというレンズは、完全無欠のレンズでは決してないです。
でも、デメリットが買う前にハッキリしているという特徴があります。

これってめちゃくちゃ大きいメリットではないでしょうか?

NIKKOR Z 50mm f/1.2 S のデメリットは、3つに集約されています。

  • 大きい:(全長 約150mm・フィルター径 82mm)
  • 重い:(約1,090g・ボディと合わせて約1.8kgほど)
  • 高い:(実売 約25〜28万円)

このデメリット、ぜんぶ買う前から把握できますよね!
例えば、

  • スペック表を眺めればすぐに分かる
  • 店頭で持てば手応えで分かる
  • レビューを2本も読めば「重い」と必ず書いてある

つまり、ここを許容できれば、その先に圧倒的な光学性能が待っているんです。

これって、買い物として健全だと思うんです。
買う前から弱点が全部見えていて、許容できる人だけが買う…。

だから買った後に期待はずれ…とはなりにくいレンズなんです。

重いのは仕方がない?

ちなみに、AF駆動方式は「マルチフォーカス方式」で、f/1.2クラスのレンズとしては世界初のSTM(ステッピングモーター)を採用しています。

これは重量物を狭いマウント径の中で動かしつつ、動画でのブリージングを抑えるための設計判断です。

だからこそ、重さは設計の必然でもあるんですよね。

価格面についても少しだけ触れようと思います。
リリースから時間が経っているレンズなので、実売は希望小売価格よりだいぶ落ち着いています。

  • 価格.com最安:約27万円(2026年5月時点)
  • 販売店(ヨドバシ・ビック):約30万円 + 10%ポイント
  • マップカメラなど専門店: 約25〜28万円のレンジ

過去のキャッシュバックキャンペーンでは、ほぼ確実に該当しています。
直近では、2026年のスプリングキャンペーンがありましたが、「20,000円キャッシュバック対象」 でした。
購入を急がない方は次の機会を狙うのもアリですね。

ちなみに、僕もキャッシュバックのタイミングで購入しています。
価格との付き合い方については カメラ予算の組み方について以前書いた話 も参考になるかもしれません。

さて、デカいだの重いだの言われる本レンズですが、買ってしまえば意外と持ち出すものです。

重くてもその先には快楽があるので、使わない手はないのです!
僕も毎日カメラバッグに忍ばせています。

もはや常用レンズの立ち位置で、使うとネガな部分も吹き飛びますよ!

気になる方は、最新の実売価格をのぞいてみてください。

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こんな人にはNIKKOR Z 50mm f/1.2 Sをおすすめしない

ここまで散々ベタ褒めしてきましたが、誠実に書きたいので「合わない人」もちゃんと書いておきます。
次のような人は注意が必要です。

  • 合理的な思考でレンズ選びをする人
  • 絶対的なAF速度を気にする人
  • ズームレンズ派の人

なぜ向かないかと、その人にとっての幸せな選択肢を添えます。

合理的な思考でレンズ選びをする人は、素直に f/1.8 S で十分です。
f/1.2 はテンションが上がるレンズではありますが、特別な用途でない限り、f/1.8 S で代用が効きます。
というか、十分にきれいに写ります。

3倍の価格を出して得られるのは「色気」や「頂上の安心感」など、合理性では測れない部分なんですよね。
合理で買い物をしたい人にとっては、これはむしろノイズになります。

AF速度についてもあまり期待できません。
(ただ、このレンズに爆速のAFを求める人がいるのかは謎ですが…。)
なので、絶対的なAF速度がほしい人なら、素直にもっと軽いレンズを選びましょう。

開発者インタビューでも、重く大きいレンズを少ないスペースで駆動させる難しさが語られています。

元も子もない話ですが、ズームレンズ派の人にもおすすめできません。
もう+αの金額を追加して、NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S II を買った方が絶対に幸せです。
汎用性で言えば、f/1.2 S とは比べるまでもなくズームの方が便利ですよね。

逆に僕の場合は、こうなりました。

旅行でも 50mm f/1.2 で行きたい!それも、このレンズ1本で。

これは 旅行用のレンズ選びをまとめた記事 で書いた自分の結論を、ある意味で裏返す発想なんですが、それくらいに付き合いたいと思える1本なんですよね。

それくらい魔力があるレンズだと思いますね。

Nikon Zf との組み合わせはアリか

僕の愛用しているボディは「Nikon Zf」です。
Zfを1年使った感想は Nikon Zfを1年使った感想 でまとめているので、ボディそのものの評価はそちらに譲ります。

組み合わせとしては、約710gのZfに約1,090gの f/1.2 S で、合計約1.8kgクラスになります。
Zfはレトロ意匠のボディゆえにグリップが浅く、装着した瞬間に「ボディよりレンズが主役」のバランスになります。
これを格好いいと取るか、そうでないかは完全に好みです。

僕は前者で、装着した姿そのものを楽しんでいる節があります。

さて肝心の写りについては、ニコン公式が「もっと高画素機にも余裕で耐えうるレンズ」と書いている通り、Zfの2,450万画素では、レンズの解像ポテンシャルにまだ余白がある印象です。

これは、本来の力が出ないという意味ではありません。
高画素機ならさらに化ける…というのが正しい理解ですかね。
今のところZfで運用していて、シャープさが足りないと感じたことは1度もありません。

独特な写りをします。

主観ですが、Zfと使うと「少し優しい写りになる」という気がします。

レンズの解像感が暴れずに、しっとり収まる感じです。

個人的に嬉しいポイントでしたね。

【まとめ】NIKKOR Z 50mm f/1.2 S には「魔力」がある

ここまで読んでもらった通り、このレンズは合理だけでは説明しきれない1本です。
なので、スペックだけで語るのが難しいレンズな気がしますね。

なので正直なところ、合理的な判断をするなら 50mm f/1.8 Sがベターということになります。
僕自身も紆余曲折を経て、このレンズを手にしたという感じです。

単純なスペック比較では、50mm f/1.2 Sの方が明るい…くらいしかメリットを感じませんよね。

ただ、単純なスペック比較ではなく、

  • 空気感までもキャプチャーしたい
  • 人を撮ってもっと喜ばれたい
  • 色気や華のあるレンズを使いたい

このような、スペックシートに載らないものを重視する人には、本当におすすめできるレンズになっています。
そして、買う前から弱点が見えているのも、僕は素晴らしいことだと感じていますね。

今回いちばん伝えたかったこと

f/1.8 S で言い訳を作るくらいなら、f/1.2 S で自分の腕と向き合うほうが、結果的に納得して撮れます。

合理性だけでは辿り着けない表現だってあるはずです。

次にこのレンズを装着して感動するのはあなたかもしれません。
まずは、量販店でファインダーだけでも覗いてみませんか?

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